ウミマチ・セカラブ(16)

運動公園の広場の一角に、バスケットのゴールが設置されている。

それは藤真がまだ野球をしていた時からそこにあって、支柱はところどころ錆びていて、木枠のペンキも剥げている。

そろそろ新しいものに変えてもいいのではないか。

機会があったら市に陳情したいと思いつつ、その機会というのもなかなか見つけられずに今に至る。

そのゴールの下で、さっきから二人の少年がボールと戯れている。

片方はTシャツにジーンズ、もう一方はパーカーに半パンという私服姿だ。

体の線がまだ細いから、中学生くらいだろうと思う。

二人ともひょろひょろと手足が長く、これからもっと伸びていきそうだ。

体の成長に筋肉が追いつかない年齢だ。自分にも、そういう時期があった。

小遣いを貯めたのか、親にねだって買ってもらったのかわからないが、二人ともハイカットのカラフルでカッコいいバッシュを履いている。

今時の子だなと思った。

藤真がここに来たときから彼らはいたので、かれこれ30分以上は経っている。

パスを出し、シュートを放ち、ゴールから離れ、一対一の抜き合いをし、転んで、笑って、喋って、汗を拭いて、水を飲んで、またボールを拾い上げる。

飽きもせず、それをずっと繰り返している。

広場の真ん中の時計台の時刻は二時を指していた。

昼食用にコンビニで買ってきたおにぎりとサンドイッチを全部食べ終え、藤真は袋にゴミを入れてベンチから立ち上がった。

出口に設置されている車止め付近に、二台の自転車無造作に止められている。

早くバスケをすることしか考えていなかったに違いない、停め方は雑で、鍵はつけっぱなし。

偶然だろうが、二台のハンドルは寄り添うように向かい合っている。

藤真は苦笑した。

まるで10年前の自分たちと同じだ。

海沿いの海南大附属高校と、丘の上の翔陽高校。その中間地点にこの公園はあった。

坂を下ってくるぶん、先に着いて待っているのはたいてい自分のほうだった。

制服姿でボールをついていると、やがて自転車で坂を上ってくる牧の姿が見える。

駐車場にすべりこみ、すでに停まっている藤真の自転車の隣に自転車を停め、こちらへ向かって歩いてくるとき、牧がさりげなく下を向いて髪を直す姿が好きだった。

藤真は振り返って時計台を見上げる。

10年も経つのに、自分の時計はあのときから一秒も動いていなかった。

(はじめまして)

牧にそう言われた時、ショックだったけど、同時に藤真の時計はふたたび時を刻み始めた。

もう、この街を離れなければならないと、藤真はいま、思っている。

 

 

 

(17)へ続く